人に貸している住宅を他に売却するのはなかなかむずかしい。むろん、その入居者をそのままにしておいて、住宅の所有権を他に売却することはできるのだが“入居者つき”の状態でこれを購入する人はまずいないからである。入居者をまず退居させた上、これを売却したい、となると、その入居者がはたして退居するかどうかである。入居者には居住権が生じていて、所有者によほどの理由がない限り、退居を求めるのはムリである。売却するから出て欲しい、というのでは、退居を求める理由にはなりにくい。むろん、退居を求めるのは、話し合いによってということになる。話し合いで、入居者がスムーズに退居することになれば、これは問題はない。ただ、所有者から退居を要求する場合には、立ち退き料を入居者から求められるのが普通である。立ち退き料の額もまた、話し合いということになるが、この金額にはまったく基準はない。“絶対に一〇〇〇万円をゆずれない“という入居者であれば、それをのんで支払うか、あるいは立ち退いてもらうことをあきらめるよりほかなくなってしまう。それにしても、立ち退き料として、最低でも家賃の半年分は必要であろう。
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