地方の工事現場の近くにはかならず飯場というものがある。下請けの社員や労働者が寝泊まりするための施設だが、これも二次、三次、末端とランクが下がれば下がるほど、狭いところに人がたくさん詰められて、条件が悪くなる。プレハブの八畳から十畳くらいの大部屋に六〜七人が詰め込まれるなどというのもめずらしくない。テレビだって、末端の下請けになると会社が用意することなどないから、仕方なく誰かが自分の持ち物を運んできたり、どこかで中古のものを見つけてくるのだが、権利は所有者にしかないから、持っていない者は遠巻きに人のテレビを眺めていたりする。
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若い者が混じっていれば酒が入ってのケンカも増えてくる。いずれにしても、大部屋だと自分のペースがつかめず、熟睡できる環境とはいえない。それでも、地方に出ればいちおうの宿舎が保証されるからいい方である。これが都会の飯場だと悲惨である。会社の近くだったら、全員通いで車で現場へ出勤ということもできるが、会社から遠距離の現場で、しかも都会というケースが便利なようでいて、かえって問題の元となる。特に東京や横浜などの首都圏に地方の業者が飯場を持つというケースでは、まず、住宅地に飯場はつくれないし、必然的に工場地帯のようなところのプレハブを借りたりして寝泊まりするのである。一次下請けのように会社がアパートを借りることができる条件があれば別だが、末端の下請けではそうはいかない。したがって、そういう工場街の飯場に住まざるを得ない人たちは、プレハブで自炊は禁物だから夜食などはコンビニの弁当を温めてもらって食べることになる。肉体労働をやる人たちが学生や独身サラリーマンと同じ食生活をする姿は悲惨としか言いようがない。